「やんごとなき読者」は本好きによる本好きのための読書小説だった (読書日記#1)

見てくださりありがとうございます。

読書日記第一弾、早速書いてみます。ドキドキ。

 

ここ最近、本を読んだ後はなんとなくその時考えていることをミミズのような字で大学ノートに書きつけ、「よし...」と満足していました。

 

手書きのノートもいいのだ。書き込んだページが増えていくのも、字の汚さがその時の調子を表しているのも、後から追記で書き込みが楽ちんなのも。

 

でも、あんまりよろしくない点も最近見えつつあったんです。

まず手が疲れる(中高生の頃、受験勉強どうしていたのか自分でも謎であるが)。文章の引用の際書き写すのに時間がかかって元気が必要。単語やフレーズを検索ができない(これは割と大きい)。そしてよくも悪くも絶対人に見られないので気合が入らない。

 

デジタルで管理できて、ちゃんと書いた文章を誰かに読んでもらえたらいいよなー、でもなかなか腰が上がらないなあ、と思っていたのでした。

 

そんなこんなでついにブログを始めるに至ったのですが、こうして行動に移せたのは、昨日読んだある一冊の本のおかげ。

「やんごとなき読者」アラン・ベネット / 市川恵里(訳)



https://www.amazon.co.jp/やんごとなき読者-白水Uブックス-アラン・ベネット/

こちらの一冊。

70歳のイギリス女王が、ある日ある出会いで本の面白さに気づいてしまい、そのまま読書沼にズブズブになる、という感じのお話です。

少しずつ本にハマっていく様子や本にまつわるエピソードが、「わ、わかる〜〜〜!」となり女王さまがとっても愛おしくなるんですよね...。

「読書は暇つぶしではないわ。むしろもっと暇が欲しいくらい!」と言ったり、本に夢中でこれまで完璧にしていたファッションがちょっと手抜きになったり。めちゃ面白く読んでいた現代小説家に会ったときに、「作家自身はたいして面白くないのでは...?」と気付くシーンは、くすくす笑いながらありそうだな〜〜と思ったりした。

そう、この本って、「読書好きあるある」のお話なのだ。

読書好きの皆さんはぜひ読んで見て欲しい本です。

 

そしてもうひとつ、「読む人が書く人になる」お話だと思っています。

はじめは読書中のメモと言っても気になる文章を書き写すだけ。でも少しずつ、自分の考えたこと、分析をガンガン書き留めていくようになる。

そして最後は本を書く、という決意をします。

そんな、「書く」決意を表明する際の女王の台詞が、とっても私に刺さったのですよね。

 

「・・・ご存知のように、本というものが行動のきっかけになることはめったにありません。たいていは、ひょっとすると自分でも気づかないうちにしていた決意に裏付けを与えるだけなのです。本に向かうのは自分の確信を裏づけるためです。本はいわばけりをつけてくれるのです」(p.145)

 

そうだよなーーと思う。本って時に自分の背中を押してくれるものだ。

自分の中に実はあったやってみたい気持ちを、本が、「やってみたら?」と優しく応援してくれる。少なくとも私は、そうやって本に励まされて二十数年生きてきた。

 

そして、女王が80歳にして本を書くというのだ。

私も、どんどん文章をかいてみよう。発信してみよう。

だってずっとやりたいなって心のどこかで思っていたし。

 

そんなふうにこの「やんごとなき読者」がわたしにけりをつけてくれたのです。

 

改めて、読書ってすてき。小説ってすてき。

私も自分のペースでやってみるよ、女王様!